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Paris Report

女性の為のエクレア専門店『ラトリエ・ドゥ・レクレール』

パリのパティスリー界では単品の専門店ブームがすっかり定着。 カップケーキで始まりクッキー、マカロン、シューと出そろいましたが、今日はエクレアのお店の紹介です。

女性の為のエクレア専門店『ラトリエ・ドゥ・レクレール』

そもそもは、殆どのパティスリーが閉まっている月曜日に、舌の肥えた友人に持っていくお菓子のあるお店はないかと思ったのがきっかけでした。たどり着いたのが、その名も「ラトリエ・ドゥ・レクレール」(エクレア工房)。これ以上シンプルに出来ないネーミング。しかも年中無休。働き好きの日本人だってパティスリーは最低週一回定休日があるのは常識のように思っていましたが、ホテルでもないのにこれってどういうこと ?!
昨年11月13日オープンだから、実は、 クラブ・デュ・シュクレ・ジャポンの先頭もきるパティスリー界の魔術師、クリストフ・アダムさんの「レクレール・ドゥ・ジェニー」より開店は1ヶ月早い。奇しくも訪問した日は偶然開店半年記念の日でありました。
そもそもは、殆どのパ…

(写真:左)店外観
(写真:中央・右) 店内

パリ2区モントルグイユ通りからちょっと外れた静かな小道、バシュモン通りにあるブティックはガラス張りでシック。シンプルで洗練された空間に色とりどりの可愛いエクレアがディスプレイされています。が、ここまでならパティスリーフリークはもう驚かない。びっくりするのはお店の奥行き。ブティック部分だけでも既にかなりボリューミーなのに、その奥にイートインの空間がずっと続いていて、リラックスできるいい感じの家具やソファが配置されています。キュートな店員さんも、親切で自然体。このままエクレア片手にずっと居座ってしまいそう。とにかくフォションやダロワイヨのような大企業はともかく、パリのハイレベルのパティスリーでここまでの広さをキープしちゃうのは尋常なパティシエの感覚じゃないような。
とにかく見た目はばっちりだけど、まずは味、と3点セレクション。
パリ2区モントルグイ…

(写真:左) モンブラン
(写真:右) バニラとパッション

モンブランエクレア、…

(写真:左) 店内
(写真:右) ショーケース

モンブランエクレア、シュー生地の上にマロンクリームと言うもっともな外観。ガブッっといくと、えっ、何と中は砂糖なしクレーム モンテのみ (砂糖が入っていないから正確にはクレームシャンティイとは言えません) ! かなり大胆な引き算だけど、確かにペロンと食べられた。最近復活しているけれど、パリでモンブランを扱う店が減っていたのは時代に逆行したその限りない重さのせいもあった訳だから、これは確信犯 ?
マダガスカル産の高級バニラをふんだんに使ったバニラのエクレア、マンゴーとパッションフルーツ風味のエクレアも、フランス人好みのシュー生地の焼き加減と良い、クリームもよく出来ています。

そこへ創立者の一人で代表のギヨーム・シモネさん登場 。あまりの清々しさに周りの空気が一瞬変わる。(美形に興味なしの私も)そのイケメンぶりに一瞬固まりそうに。

そもそもこのお店は、ビジネススクール卒業を控え、それぞれ起業したいという夢を持っていた3人の「イケメン」(後のお二人お会いしませんでしたが、勝手に確信)が、個別に起業するより3人のノウハウを出し合って最初から最高のビジネスを !と意気投合したことから始まりました。
単品ブティックが流行っている現象を分析して、当時まだ誰も目をつけていなかったフランス人の大好きな、然も(彼なしにパティスリー・フランセーズは存在し得なかったとも言える)マリー・アントワーヌ(アントナン)・カレームの時代まで遡ることのできるエクレアの専門店を出す事に決定。「最高の素材を使って、見た目はファッショナブル、でも味はあくまでもシンプルで軽くヘルシーに、を手作りで。」というポリシーを携えて。
なるほど、これで先ほどのモンブランの衝撃が解決されました。

彼曰く、「作り手は凝りに凝って面白くても、消費者として何を食べているのか分からないのはいただけない、自分たちは最高素材を思いっきりシンプルに使って単純においしい !と思える物を作っていきたい。だって何を食べているか分からないと、僕は心からおいしいとは思えないから。」この余りに率直なギョームさんの言葉に、ちょっと耳が痛いような。

シェフ・パティシエとして、自分たちのパッションを一緒に分かち合ってコラボすることができ、かつ確かな技術の裏付けのある同年代のパティシエ、 ロイク・ブレ氏を選出(グランメゾンでキャリアを積んだシェフ・パティシエ達を差し置いて 、です)。3人の創立者とシェフ・パティシエの平均年齢が25歳というのはすごい。既成概念を覆す、恐れを知らぬこのチャレンジ精神、レコールバンタンにつながる物を感じてしまいます。

しかも、ブティックが閉まった夜は企業の為の貸し切りカクテルパーティ、エクレアのサレとシュクレをシェフ指導のもとグループ別に作って最後に皆で試食の「プライベートアトリエクラス」、大企業へのケータリングもしているというから本当にフル回転以上。パーティは最高100人参加できるという事で、贅沢に空間を取っている意味がやっと理解できました。
なるほど、これで先ほ…

創立者の一人で代表のギヨーム・シモネさん

ギヨームさんの実直な話し振りから確かなビジネスツールを駆使して仕事しているのが楽しくて仕方が無い ! という感じが伝わってきて、好感度マックス(お店へのです)。しかも販売スタッフも制作スタッフもフレンドリーで本当に自然体で仲良さそう。皆いいコンディションで仕事しているんだな、と実感できました。

ここは女性の為の店であるということ、と強調されていましたが、若い女子は勿論の事、子ども連れ同士でママ友が一緒にスィーツを味わいつつおしゃべりできるよう、なんとお店の奥にはまるで小さなパリジェンヌの子供部屋の様なキッズコーナーも用意されています。勿論土曜、日曜日にはブランチも。ウィークデーでもエクレアオンリーのセットメニューを自分の好みに組み合わせてランチする人多数。そう、シュクレは勿論、サレも作っているのです。エクレアサイズより小さいキャロリーヌサイズのチョリゾとドライトマトのエクレアを試食しましたが、大満足。その他フォワグラとイチジクのエクレア等、厳選された組み合わせのエクレア・サレ数点。ちなみにサレのエクレアには上にクラッカンを敷いて焼いていますが、これが香ばしくてサレにあって美味しい。
ギヨームさんの実直な…

(写真:左) エクレア・サレ
(写真:中央) エクレアを選ぶギヨームさん
(写真:右) キッズコーナー

今年の3月8日の国際女性デーの為のクリエーションで、そのまま定番として残った「ローズ・フランボワーズ」 。シュー生地に赤いクラッカンの生地を乗せて焼き、フランボワーズのコンフィとバラとバニラ風味のクレームパティシエールをガルニして、ピンクのグラサージュ。その他、聖パトリックの祝日に合わせて作られた「チョコラ、トンカ」も定番に。イベントに合わせてクリエーションも次々出しているそうです。 
今年の3月8日の国際…

ローズ・フランボワーズ

パティシエだったら誰でも、いつかは自分のお店を出したいと夢見ているのではないでしょうか。でもトップレベルのメゾンで豊富な経験を積んだシェフにとっても、スターシェフでもなければ、パリでお店を出し成功させて行くのはそんなに簡単な事ではありません。

「手作りに徹しているから、一つとして同じエクレアはない」と ギヨームさんは衒いもなく言い切ったけど、これ、商品をいかにイダンティック(同一)に作るか、という事を決定的に叩き込まれてきている普通のパティシエが聞いたらぶっ飛んでしまいそう。 パティスリーは絶えず進化して行っていても、あくまで保守的なフランスのパティスリー界に対する挑戦とも取れそうです。でも、かなりチェレンジな事をしていながら、この世界の伝統に対する攻撃的な態度が全く感じられなかったのは、恐らくそんな気持ちはみじんも持っていないから。自分たちのバランス感覚を信じていてぶれない。これって実はすごい武器、と思わされた午後でした。アイデアが溢れ出ている感じの「ラトリエ・ドゥ・レクレール」。今後の展開が楽しみです。
バースディケーキならぬ、長さ45cmのバースディエクレアも注文できます。
6人から8人用エクレア 「何人用 ?」の問いに、「一応8人用。でも食べる人の食いしん坊さにもよるから。」と又正直なお答え。
バースディケーキなら…

45センチエクレア

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